2025 年 42 巻 3 号 p. 271-274
本邦では肘部管症候群(CuTS)の最多原因として変形性肘関節症(肘OA)が知られている.著者らは肘OA を部位別に評価し,CuTS の発症,重症度,術後予後との関連性を検討した.肘部管症候群と診断し,手術加療を行った症例のうち,術後1 年まで経過観察可能であった101 例を対象とした.肘内側,外側,尺骨神経溝についてKellgren-Lawrence 分類(KL 分類)を用いた肘OA の重症度,McGowan 分類を用いたCuTS の重症度で層別化し,これらの関連性を検討した.McGowan 分類Ⅱ,Ⅲ期はⅠ期に対して,いずれの部位でも有意にOA が重度であった.CuTS の進行に伴い,carrying angle は内反傾向にあったが,有意差はなかった.また,内側OA の重症化とともにcarrying angle は有意に減少した.本結果より肘OA とCuTS の発症,重症化との関連が示され,外反による尺骨神経の牽引より,肘OA による尺骨神経溝の骨棘や癒着等による影響が示唆された.