2025 年 42 巻 3 号 p. 315-320
舟状骨窩と月状骨窩間に矢状方向の骨折線を有し,両窩骨片を有する橈骨遠位端骨折において,掌側ロッキングプレート固定後に橈骨舟状骨間に関節症性変化を生じた症例を経験した.舟状骨窩と月状骨窩間のvolar tilt(VT)の矯正損失量が異なることに起因する可能性があると考え,調査した.2018 年4 月~2024 年6 月に当院で診断したAO 分類C 型の橈骨遠位端骨折355 手のうち,舟状骨窩骨片と月状骨窩骨片を有し,掌側ロッキングプレート固定翌日と癒合後に単純CT 像を撮影していた26 例を対象とした.CT でのMPR 矢状断像で舟状骨窩と月状骨窩のVT(S-VT,L-VT)を計測し,術翌日と癒合後で両窩間の矯正損失量を統計学的に比較検討した.S-VT が平均-2.7±3.3°,L-VT が平均-1.0±2.7°で,S-VT の方が背側傾斜方向へ有意に矯正位を損失していた(P<0.05).舟状骨窩と月状骨窩のVT の矯正損失量には差異があることが明らかになった.さらなる検証を要するが,術後関節症性変化の一因である可能性がある.