2025 年 42 巻 3 号 p. 321-325
類骨骨腫は主に若年に発症する良性骨腫瘍で,上肢に発生することは比較的稀である.疼痛を主訴に受診し,発生場所は単純X 線だけでは判断できないことが多い.本研究の目的は,上肢の類骨骨腫で手術を行った症例を収集し,臨床経過および画像的特徴と治療成績を調査することである.上肢の類骨骨腫に対して手術を行い,病理診断できた11 例を対象とした.発症から手術まで平均19(2-42)か月を要した.全例に単純X 線,CT,MRI を行ったが,単純X 線だけで診断できた症例は4 例(36%)であった.上肢の類骨骨腫は他の疾患と症状が類似していること,解剖学的構造が複雑であることから診断が難しい.そのため,誤診や診断の遅れにつながっている.手術ではen bloc 切除術が行われるが,小さい骨の場合には搔爬術を選択せざるを得ないことがある.強い疼痛が継続する場合には上肢でも類骨骨腫を疑い,CT を考慮する必要がある.