2026 年 42 巻 4 号 p. 556-559
横手根靭帯(Transverse Carpal Ligament:TCL)における筋組織の存在は,正中神経運動枝の解剖学的変異との関連性が指摘されている.手根管症候群に対して手根管外鏡視開放術を施行した200 手を対象に,TCL の表層および層内における筋組織の存在,形態,分布様式を調査した.筋組織はTCL 表層に76 手(38%),層内に75 手(37%)存在し,49 手(25%)では認めなかった.性別・年齢による有意差はなかった.筋組織の厚さは菲薄群76 手(50%),中等度群64 手(42%),肥厚群11 手(7%)で,表層性・層内性で同様の分布傾向を示した.Transligamentous type の運動枝変異を6 手に認め,全例でTCL に筋組織が存在していたが,筋組織の局在部位および厚さには一定の傾向を認めなかった.TCL においては高頻度に筋組織の存在が認められ,その形態学的特徴は多様である.手術操作に際しては,筋組織の存在様式にかかわらず,正中神経運動枝損傷に注意を要する.