日本統計学会誌
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特集:スパース推定の最近の動向:新たな方法と理論の展開
非凸スパース制約最小化による信号復元:非凸性制御によるアルゴリズム軌道の安定化
坂田 綾香小渕 智之
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キーワード: 非凸制約, SCAD, MCP, 確率伝搬法
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2023 年 53 巻 1 号 p. 111-137

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抄録

本稿では,圧縮センシングにおける非凸スパース制約を用いた信号復元法について紹介する.ここではSmoothly Clipped Absolute Deviation (SCAD),Minimax Concave Penalty (MCP)と呼ばれる非凸スパース制約の最小化法を扱う.これらの制約は,非凸性パラメータと呼ぶ正則化パラメータにより形が変化し,ある極限ではℓ1制約と一致する.本稿では,近似確率伝搬法と呼ばれるアルゴリズムにより非凸制約最小化問題を解くことを考える.対応する理論解析から,非凸制約最小化法はℓ1制約最小化法よりも高い復元性能を与え,非凸性パラメータが小さいほどその性能が高くなることが示される.しかし,非凸性パラメータが小さくなると近似確率伝搬法が収束しない問題が生じる.この問題の背景に,近似確率伝搬法の固定点への引き込み領域が消失するという現象があることを示し,この現象に由来する収束性の悪さを非凸性制御と呼ぶ方法により部分的に解決する (Sakata and Obuchi (2021)).

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© 2023 日本統計学会
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