日本統計学会誌
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特集 : 医学・疫学分野における統計アプローチ(2)
修正ポアソン回帰・修正最小二乗回帰による2値アウトカムデータの多変量解析
野間 久史宇野 慧石井 亮太
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2025 年 55 巻 1 号 p. 137-157

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抄録

ロジスティック回帰分析は,臨床研究・疫学研究における2値アウトカムのデータの多変量解析のスタンダードな方法として,長らく実践上,広く用いられてきた.しかしながら,その結果として得られるオッズ比の推定値は,治療効果・曝露効果の指標としては直接的な解釈をすることができず,対象となるイベントの頻度が低いときにリスク比の近似になること以外の解釈ができないことが問題とされてきた.最近の研究報告のためのガイドラインでは,直接的な解釈が可能な効果の指標を用いることを推奨するものも増えており,これに代わる多変量解析の方法として,近年,修正ポアソン回帰・修正最小二乗回帰という方法が広く用いられるようになっている.これらの方法では,ポアソン回帰・最小二乗回帰といった,まったく異なる分布形を仮定した回帰モデルを2値アウトカムのデータに当てはめ,リスク比・リスク差という,直接的な解釈が可能な効果の指標を推定することができるとされている.本稿では,この修正ポアソン回帰・修正最小二乗回帰がどのような理論に基づく方法なのかについて,平易な解説を行い,推定方程式理論の枠組みのもとで,リスク比・リスク差の妥当な推測が可能となる原理について解説を行う.また,CRANに公表されているRパッケージrqlmを用いた修正ポアソン回帰・修正最小二乗回帰によるデータ解析の方法について解説を行う.あわせて,近年の関連する研究の進展について概説する.

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