スポーツ社会学研究
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原著論文
武道必修化の課題と展望
北村 尚浩
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2013 年 21 巻 1 号 p. 23-35

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抄録

 グローバル化が進む国際社会の中で、日本の伝統文化を尊重した教育が求められるようになった。 そして、日本の伝統文化を継承・発展させるための教育を具現化するため、武道の学習を通して、我が国固有の伝統と文化により一層触れることができるよう、2012年4月から中学校の保健体育で武道が必修化された。武道は日本の伝統文化の一つとしての側面を持ちながら、勝敗を競うスポーツのひとつの種目としての側面をも有しているが、新学習指導要領で求められる武道教育を通して日本の伝統文化の発展、継承といった目的を達成するためには、単に技能・技術教育のみならず、武道の伝統的、文化的特性の教育が求められる。これまで武道は、体育の授業の中で選択領域として位置づけられ、実施は各中学校の裁量に委ねられていた。そのような中での必修化は、現場に様々な混乱をもたらした。
 本稿の目的は、中学校で必修化された武道をめぐる様々な問題点について、筆者らが実施したアンケート調査の結果をもとに考察し、今後の展望について検討を試みるものである。

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© 2013 日本スポーツ社会学会
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