スポーツ社会学研究
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韓国におけるスポーツ参与の増大とスポーツ環境の変化
金 恵子田中 励子江刺 正吾
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1997 年 5 巻 p. 92-101

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抄録

本研究の目的は, 韓国におけるスポーツ参与者の増大に影響を及ぼしたスポーツ施設, スポーツ関係の法律, スポーツ組織そしてスポーツ指導者などのスポーツ環境の変化を明らかにすることである。研究の方法は, 1980年代から最近までの韓国におけるスポーツ環境に関する諸資料及び文献を総合的に検討する。スポーツ活動という社会的行為が存続し発展していくためには, パーソンズの社会理論を援用するならば, スポーツ行為が自然的・社会的環境に適応し, 目標を立ててその達成に努力し, 人々の連帯性を高めて価値を維持しなければならない。
本研究では, これまでの先行研究から, スポーツ環境を構成する下位体系としてスポーツ施設, スポーツ関係の法律, スポーツ組織そしてスポーツ指導者の4つの要件を取りあげた。
主な結果は以下のとおりである。
1) スポーツ施設はスポーツ参与に必要な物理的な環境を提供する。韓国におけるスポーツ施設は, 1984年から最近まで大きく変化した。とくに公共施設の充実に力をいれているが, その数は1984年451ヵ所, 1988年689ヵ所, 1994年2,621ヵ所そして1996年3,307ヵ所と大幅に増えた。
2) スポーツ参与の目標を策定し, その目標の達成に向かって, 諸資源を動員する機能としてスポーツ関係の法律がある。韓国のスポーツ活動を法的に支えたのは, 1962年に施行された「国民体育振興法」と1989年に施行された「体育施設の設置・利用に関する法」である。その結果, スポーツ施設とスポーツ予算の確保, スポーツ指導者の養成などに大きな目標を与えた。
3) スポーツ組織は, スポーツに関連する集団やスポーツ参与者を統合する機能を果たす。韓国におけるスポーツ関係の政府組織として,「体育省」が1982年に創設されて, スポーツ振興に強力な支えとなった。また, スポーツの民間組織としてYMCAと社会体育センターもそれぞれ人々のスポーツ参与に貢献した。
4) スポーツ指導者は, スポーツ文化を維持し, 発展させる機能を担っている。韓国における「生活体育指導者」は, 1986年177名, 1989年2,629名, 1992年2,951名そして1994年1,595名が養成され, 国民のスポーツ参与に貢献した。

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