本研究では,特別養護老人ホームの入居者が評価する施設サービスに対する領域別満足度(「施設職員の態度」「施設環境の快適さ」「食事」の各領域に対する満足度)と総合的満足度の関連について,構造方程式モデリングを用いて検討することを目的とした.分析対象者は,調査協力が得られた近畿地方の特別養護老人ホーム(17施設)の入居者113名であり,施設訪問による個別面接調査法により回答を求めた.領域別満足度の3領域を独立変数,総合的満足度を従属変数とする多重指標モデルを構築し,モデルの適合度と各変数間の関連について検討した.その結果,「施設職員の態度」が総合的満足度と最も強く関連していた.また,「施設環境の快適さ」との間にも有意な関連が示された.以上の結果から,入居者の総合的満足度の向上には施設職員の対人援助職としての態度が最も重要であること,また施設環境の快適さにも十分配慮することの必要性が示唆された.
