日本産業技術教育学会誌
Online ISSN : 2434-6101
論文
物理的可視化と物理的直接操作によるIPアドレスの仕組みを学習するための教材の開発と評価
吉原 和明井口 信和渡辺 健次
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ジャーナル オープンアクセス

2018 年 60 巻 2 号 p. 73-80

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抄録

本研究では,物理的可視化や物理的直接操作によるネットワーク学習教材を開発し,教材を用いた授業実践を実施し,事前・事後テストとアンケート結果をもとに教材の有効性を確かめた。本教材を用いることによって,現状では見ることのできないネットワーク技術を,LED を用いて物理的可視化し,ダイヤルやボタンを用いて物理的直接操作することで,直感的にネットワークの機能や動作を理解することができ,IP アドレスの仕組みを効果的に学習できることが確認できた。ネットワークの学習の問題点に,実験や実習を行うことが難しいことがある。加えて,ネットワークそのものが利用者の目に触れないところで働いているため,動作を直接見ることができないことも,学習を難しくしている。そこで本研究では,ネットワークの動作をLED の点灯により,物理的に可視化し,ボタンやダイヤルで物理的に直接操作することで,実際にネットワークの構築を通してIP アドレスの仕組みを学習するための教材を開発した。中学校1 年生を対象に教材を用いた授業実践を行い,教材の評価を行った。授業対象者を実験群と統制群に分け,事前テスト・事後テストを行った結果,事後テストでは,実験群の方が統制群より得点が高い傾向にあり,有意差が見られたことから,教材の有効性が確認できた。

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