2019 年 61 巻 1 号 p. 17-25
本研究の目的は,社会における製品開発に関わる能力育成を志向した技術科の題材「IoTを活用した製品モデルの設計・製作」を開発・実践し,学習評価や調査の分析を通して工夫・創造の能力育成などを検討することである。中学校2年生(81名)を対象として,IoT製品モデルを構想し,他者からの批判的な意見を取り入れて再構想する学習過程を含んだ計7時間の授業を実施した。その結果,生徒は他者の意見の44.7%を取り入れてIoT製品モデルの構想を修正・改善することができており,工夫・創造する能力が表出した学習過程を推察できた。また,IoTが生活や社会に与える影響について,社会的及び経済的な側面や製品の機能や性能を踏まえた視点から考えることができていた。さらに,IoTに関する基礎的知識が定着しており,技術への関心,技術を活用する意欲・態度などが涵養されていると考えられた。