2019 年 61 巻 2 号 p. 125-136
本研究の目的は,小学校図画工作科(以下,図工科)と中学校技術・家庭科技術分野(以下,技術科)の内容「A 材料と加工の技術」のスムーズな接続を図るため,図工科において設計プロセスを学ぶものづくり学習の実践を試行し,その効果を検証することである。具体的には,小学校5年生の児童にHutchinson(1991)の設計プロセスモデルを参考に作成したワークシートを用い,ダンボールを材料に実用的な製品を設計・製作させた。その結果,本実践を通して,実用性のある製品の製作に対する好感や既製品に込められた工夫への気づきなどを促すことができた。また,機能性のある製品の製作意欲,既製品の仕組みへの興味,設計への興味と重要性の認識,ものづくりによる問題解決への意欲の向上が見られた。これらのことから本実践には,図工科と技術科の接続を意識した題材として一定の効果のあることが示唆された。