2022 年 64 巻 2 号 p. 139-148
本研究の目的は,生物育成の技術の評価に関する授業における主体的・対話的で深い学びの実現を目指す実践知の意味構造を明らかにすることである。調査は,再生刺激法による対象教師の省察を基に行った。教師はウェアラブルカメラを装着し生物育成の技術の評価に関する授業を実践した。授業後,ウェアラブルカメラによって記録した主観的な映像とビデオカメラを用いて教室の様子を記録した客観的な映像を統合した映像を視聴しながら,授業の省察について発話した。発話記録から得られたテキストデータを質的に分析し,実践知を構造化したモデルを作成した。その結果,生物育成の評価に関する授業の文脈に沿った実践知の構成概念を明らかにすることができた。実践知の表出により,実践知の他者との共有が期待される。一方,学習内容による事例研究の蓄積と実践知継承の方略の検討が必要であると考えられる。