抄録
広尾学園中学校・高等学校では定期試験中に中学3学年が一斉下校することがあり学年ごとに教室を出る時間を5分ずつずらしているが,エントランスや駅構内で混雑が起きている。この混雑緩和を目指して,「A universal power law governing pedestrian interactions」[1]にある歩行者相互作用のモデルを一斉下校する際のシミュレーションに応用した。[1]以前の先行研究において,歩行者同士の動きは粒子同士の動きで表現でき,相互作用が働いていることがわかっている。しかし,一対の相互作用をそれぞれ分離して定量化しづらいという問題点があり,[1]では歩行者相互作用のモデル化にあたり,歩行者対の存在確率を確率密度関数を用いて定義し,ボルツマン分布に従うと仮定して,この問題点を解決している。学年ごとに教室を出る時間をずらして一斉下校シミュレーションを行った結果,その時間は9分が妥当であるという結論に至った。