2022 年 4 巻 p. 3-11
野外学習においてドローンを利用することは,学習者の等身大の視点に,ドローン画像による上空からのリアルタイムの視点を加えることを可能にする.等身大の視点では見えなかったり,空間的配置がわかりにくいものでも,ドローンによる視点を加えることによって理解を促進する効果が期待できるのである.そこで筆者らは治水学習の一環として,ドローンを使用した野外学習教材の開発を試みた.三重県安濃川に残る伝統的な治水手法である越流堤と霞堤を対象とした野外学習においてドローンを使用し,ドローンからコントローラーに送信される画像を教師のフェイスブックに転送し,ポケットWi-Fiを通じて児童のiPadに配信し,それを教師が説明するという構成の教材である.評価は児童の理解度の自己評価,ドローンで学習したことに対する児童の評価,授業後の振り返りの分析により行った.その結果,ドローンを利用した野外学習教材は治水手法の理解を促す上で一定の効果があったと判断できる.