日本血栓止血学会誌
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原著
Long-PCR法を用いた血液凝固第VIII因子遺伝子の逆位解析
山田 貴之高木 明中出 祐介村手 隆柳田 正光中山 享之山本 晃士松下 正高松 純樹齋藤 英彦小嶋 哲人
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2001 年 12 巻 3 号 p. 187-196

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抄録

伴性劣性の遺伝形式をとる代表的な先天性出血性素因・血友病Aは, X染色体長腕部に存在する第VIII因子遺伝子のさまざまな異常によって引き起こされる. 最近, 遺伝子異常の不明であった約半数の重症血友病A症例において第VIII因子遺伝子の一部を含んだ約500 kb におよぶ逆位が起こっていることが報告され, 日本人においてもサザンブロット解析にて欧米人とほぼ同頻度に逆位異常が検出されている. 今回われわれは, より迅速かつ簡便に第VIII因子遺伝子の逆位解析を行うべく, Long-PCR法の条件最適化を検討した. その結果, DNAポリメラーゼとしてLA TaqTMを用いて反応液にDMSO (最終濃度 7.5%) および7-deaza-dGTP (最終濃度 0.1mM) を添加し, 熱変性反応 (96℃ 15秒) とプライマーのアニーリング/伸長反応 (63℃ 15分) を20サイクル繰り返すPCRを行うことにより, 効率よく逆位異常を検出できることが判明した. 本法を用いて日本人重症血友病A患者検体を検索した結果, 39名中17名 (43.6%) に逆位を検出できた. 本法は, 従来のサザンブロット法に比べより少量の検体で, かつ迅速に解析できることが示された.

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© 2001 日本血栓止血学会
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