日本血栓止血学会誌
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原 著
LPS誘発ラットDICモデルにおけるエンドセリンの役割
菅  幸生朝倉 英策吉田 知孝森下 英理子山崎 雅英青島 敬二御舘 靖雄水谷 朋恵加藤 みのり伊藤 貴子宮本 謙一中尾 眞二
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2002 年 13 巻 2 号 p. 169-174

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抄録

DICにおいて, 強力な血管収縮性ペプチドであるエンドセリン (ET) の果たす役割を明らかにするため, LPS誘発ラットDICモデルに対してET受容体拮抗薬であるTAK-044 (以下TAK) を投与し, DIC病態に対する影響を検討した. DICモデルは, Wistar系雄性ラットに対して, 尾静脈よりLPS50mg/kgを4時間かけ点滴静注し作成した. TAK投与群では, 同薬を-30分から4時間後まで持続点滴した (TAK2, 10, 50mg/kg/4. 5hr) . DICモデルに対するTAK投与により, 血中トロンビン-アンチトロンビンIII複合体 (TAT) , 血小板数, プロトロンビン時間, フィブリノゲンに対する影響はみられなかったが, 血中Dダイマーは有意に上昇し, 臓器障害のマーカーである血中クレアチニン, ALTは用量依存性に有意に抑制された. また, 腎糸球体におけるフィブリン沈着は, 同薬投与により有意に抑制された. 以上の結果より, DICの臓器障害進展にはエンドセリンも関与しているものと考えられた.

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© 2002 日本血栓止血学会
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