日本血栓止血学会誌
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原 著
特発性血小板減少性紫斑病患者の初期の臨床症状とその時間的変化
泉田 美知子永井 正規仁科 基子柴崎 智美太田 晶子石島 英樹
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2007 年 18 巻 1 号 p. 53-60

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抄録
特発性血小板減少性紫斑病患者の初期の臨床症状と,その時間的変化が,性・発病時年齢別に明らかになった.
発病初期に認められる出血症状は,小児(15 歳未満) では頻度の高い順に紫斑,鼻出血,歯肉出血であり,成人(15 歳以上) では紫斑,歯肉出血,鼻出血であった.これらの結果は過去の報告に合致していた.
発病初期に認められる3 番目に頻度の高い出血症状は,15 歳以上全体では鼻出血であったが,15-39 歳の女では月経過多,65 歳以上の男では下血であった.
紫斑・歯肉出血・鼻出血の有症者割合は,発病初期に最も高く,発病後2-4 年までに急激に減少して発病初期の1 / 2 以下となり,発病後4-5 年以降には大きな変化はなかった.この出血症状の時間的変化は,性・発病時年齢にかかわらず概ね一致していた.
ここで明らかにした性・年齢別の発病初期の臨床症状の有症者割合とその時間的変化は,本研究で初めて明らかになったものである.
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© 2007 日本血栓止血学会
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