日本血栓止血学会誌
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原 著
ヘパリナーゼを用いたヘパリン混入血液のトロンビン生成試験法による凝固能評価の基礎的検討
山下 敦己長江 千愛武藤 真二浅原 美恵子山崎 哲高山 成伸瀧 正志
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2008 年 19 巻 6 号 p. 796-805

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抄録

最近,出血性および血栓性疾患両者の凝固能を評価する新たな方法としてトロンビン生成試験(TGT)が注目されている.小児では中心静脈カテーテル(CVC)の利用も多く,通常その閉塞を防止する目的でヘパリンが使用される.それゆえCVC血にはヘパリンが多かれ少なかれ混入し,正確な凝固能の評価が不可能となる.我々はCVC血を使った凝固能測定に際し,ヘパリンの影響と,硫酸プロタミン,ヘパリナーゼのヘパリン中和効果についてTGTを中心に検討した.その結果,TGTはPT,APTTに比べ,ヘパリンに鋭敏であった.硫酸プロタミンおよびヘパリナーゼは共に至適中和量でヘパリンを完全に中和した.過剰量において,前者はその用量依存性にトロンビン生成抑制作用が認められたが,後者ではその作用は認められなかった.以上より,ヘパリナーゼを利用したTGT測定は,ヘパリン混入血の凝固能を評価する上で有用と思われた.

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© 2008 日本血栓止血学会
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