日本血栓止血学会誌
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凝固・線溶・血小板タンパク質の機能発現機構
東アジア人特有のP475S変異を持つADAMTS13の立体構造と機能解析
秋山 正志武田 壮一宮田 敏行
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2013 年 24 巻 6 号 p. 613-618

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抄録
❖Points❖
①日本人のおよそ10人に1人がヘテロで持つADAMTS13遺伝子のP475S変異は,VWF切断活性の低下を引き起こす.その分子機構の理解を目的として,P475S変異型ADAMTS13-DTCSドメインの結晶構造を決定した.
②P475S変異はCAドメイン内にあるVWFが結合するエキソサイトと考えられるVループに局所的な構造変化をもたらし,正常型に比べてループ構造が不安定となっていた.
③P475S変異型ADAMTS13-MDTCSのペプチド基質の切断速度は正常型とほぼ等しかったが,基質に対する親和性は正常型のほぼ半分に低下しており,P475S変異によりVWFとの相互作用が低下し切断効率が低下すると考えられた.
④P475S変異型ADAMTS13-MDTCSのずり応力下のVWFマルチマー切断活性は正常型の70%程度を示し,P475S変異は先天性血栓性血小板減少性紫斑病の原因変異ではないというこれまでの結果と良く一致した.
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© 2013 日本血栓止血学会
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