日本血栓止血学会誌
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24 巻 , 6 号
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特集「血管内皮,血管機能のイメージング解析」
  • 西山 功一
    2013 年 24 巻 6 号 p. 553-559
    発行日: 2013/12/01
    公開日: 2014/01/21
    ジャーナル フリー
    血管新生は,血管内皮細胞と血管壁細胞からなる多細胞体が4次元的に織りなす極めて精緻な生命現象である.これまで,分子生物学的手法により血管新生に関与する重要な分子群が同定され,また,発生工学的手法の進歩により,それら血管新生関連分子群の個体レベルでの役割が分ってきた.さらに,近年の顕微鏡性能の向上や分子イメージングプローブの開発は,細胞や分子のふるまいを4次元的に捉えることを可能とし,今まさに,分子から多細胞動態に至る一連の血管新生事象を体系的に理解する準備が整ってきたと言える.本稿では,筆者らがこれまで確立してきたin vitro血管新生過程の4次元的観察法及びその定量的評価法を紹介することで血管新生研究の新しいアプローチ法を提案するとともに,その解析法によって得られた新規知見も併せて紹介した.
  • 吉岡 和晃, 多久和 典子, 岡本 安雄, 多久和 陽
    2013 年 24 巻 6 号 p. 560-568
    発行日: 2013/12/01
    公開日: 2014/01/21
    ジャーナル フリー
    脂質リン酸酵素であるホスファチジルイノシトール3-キナーゼ(PI3K)ファミリーは多岐に渡る生理作用を発揮する.クラスI型PI3KはVEGFなどの血管新生因子により活性化され,血管新生に必須である.これまで機能が不明であったクラスIIα型PI3K(C2α)は,その臓器特異的ノックアウトマウスの解析から,発生期・生後の生理的および病的(虚血・腫瘍)血管新生ならびに血管恒常性維持に重要な役割を果たすことが明らかとなった.更に我々が構築した共焦点マルチカラー・ライブセルイメージングシステムを用いた観察から,血管内皮細胞においてC2αは細胞内小胞輸送の制御を介して,VE-カドヘリンをはじめとする積荷分子の経小胞輸送と内皮細胞間接着構造の形成,ならびに小胞膜上での低分子量Gタンパク質Rhoなどのシグナル伝達に関与し,血管新生・恒常性維持に必須であることが解明された.
  • 山本 希美子, 安藤 譲二
    2013 年 24 巻 6 号 p. 569-575
    発行日: 2013/12/01
    公開日: 2014/01/21
    ジャーナル フリー
    血管内皮細胞には血流に起因する流れずり応力(shear stress)が作用し,血管の機能を調節している.ヒト肺動脈内皮細胞(HPAECs)にshear stressを負荷すると,内因性ATPが細胞外へ放出され,細胞膜に発現するATP受容体であるP2X4を活性化し,細胞内へCa2+が流入する.P2X4遺伝子欠損マウスの内皮細胞では,shear stressに伴うCa2+反応やNO産生が抑制されるだけでなく,血圧が上昇し,血流上昇に伴う血管拡張反応,血流減少によるリモデリング反応も障害される.P2X4を介するshear stress感知機構を解明する為に,独自の方法を用いて,細胞外ATPを画像化した所,細胞膜カベオラからATP放出が起こり,同じ局所でP2X4を介したCa2+流入反応を惹起していた.更に,細胞膜カベオラとshear stressの感知機構を解明する為,細胞膜リン脂質-水系の構造(lipid order)の変化と膜流動性の変化を画像解析した所,shear stressにより即座に細胞膜カベオラのlipid orderが減少し,膜の流動性が増加した.この変化は人工脂質二分子膜でも観察される為,物理現象であることが証明された.細胞膜流動性の変化は様々な膜分子を活性化することが知られており,shear stressによる細胞膜の物理的性質の変化が内皮細胞のメカノセンシングに重要な役割を果たすことを示す.
  • 須藤 亮
    2013 年 24 巻 6 号 p. 576-581
    発行日: 2013/12/01
    公開日: 2014/01/21
    ジャーナル フリー
    血管形成は生理的および病理的状態において重要な現象であり,盛んに研究が行われている.血管ネットワーク形成は3次元的な形態形成であるため,従来型の培養ではイメージング解析が難しかった.しかし,近年微細加工技術を利用して開発されたマイクロ流体システムでは,血管が伸長していく様子を詳細に観察することができる.また,マイクロ流体システムでは様々な微小培養環境を調節可能であり,血管形成のイメージング解析にも適している.このようなマイクロ流体システムを用いた血管新生モデルによって,血管形成における生体力学的因子の影響や細胞間相互作用などが明らかになってきた.特に,間質流などの流れ刺激による血管ネットワーク形成に関して研究が進んでいる.最近の研究では,より生理的な毛細血管モデルが構築できるようになっており,今後血管形成のイメージング解析による新たな研究の展開が期待されている.
  • 今村 健志, 疋田 温彦, 大嶋 佑介, 古賀 繁宏
    2013 年 24 巻 6 号 p. 582-587
    発行日: 2013/12/01
    公開日: 2014/01/21
    ジャーナル フリー
    近年,生命科学分野における飛躍的な技術革新により,蛍光技術を用いて分子や細胞の動態や機能を解析するfluorescent imaging(蛍光イメージング)が急速に発展した.特に新しい蛍光タンパク質プローブの開発,2光子励起顕微鏡などの機器の開発とその性能の飛躍的向上や画像処理ソフトウエアの進歩により,蛍光イメージングの対象は培養細胞のみならず,生きているマウスまで拡大してきている.血管研究の分野でも蛍光イメージングの応用が進んでいが,一方で,動物が生きている状態(生体)での蛍光イメージングにおいては,生体組織による蛍光の吸収や散乱などのさまざまな光学的問題が生じ,特に深部観察が難しいという欠点がある.本稿では,血管研究における生体蛍光イメージング技術の現状と今後展望について,われわれのがん研究におけるデータを紹介しながら,生体蛍光イメージング技術の問題点を洗い出し,その解決策を探りたい.
  • 西村 智
    2013 年 24 巻 6 号 p. 588-592
    発行日: 2013/12/01
    公開日: 2014/01/21
    ジャーナル フリー
    生体でもっとも小さく核を有さない血小板は,一方で,多彩な生理作用を持つ.しかし,従来の手法では,単一血小板は生体内で可視化することができず,生体での機能にも不明な点が多かった.我々は,一光子共焦点・二光子レーザー顕微鏡を用いた「生体分子イメージング手法」を独自に開発し,血栓症をはじめとする生活習慣病にアプローチしてきた.本手法を用いて生体内の血栓形成過程の詳細も明らかになり,iPS由来の人工血小板の機能解析も可能となっている.生体内の血小板機能を生体外で再構築し解析することも可能になっている.生体内での血小板の活性化機構と血栓止血機能,さらに多彩な生命生理現象との関わりに対して,新規アプローチを中心に紹介する.
原著論文
トピックス
凝固・線溶・血小板タンパク質の機能発現機構
  • 秋山 正志, 武田 壮一, 宮田 敏行
    2013 年 24 巻 6 号 p. 613-618
    発行日: 2013/12/01
    公開日: 2014/01/21
    ジャーナル フリー
    ❖Points❖
    ①日本人のおよそ10人に1人がヘテロで持つADAMTS13遺伝子のP475S変異は,VWF切断活性の低下を引き起こす.その分子機構の理解を目的として,P475S変異型ADAMTS13-DTCSドメインの結晶構造を決定した.
    ②P475S変異はCAドメイン内にあるVWFが結合するエキソサイトと考えられるVループに局所的な構造変化をもたらし,正常型に比べてループ構造が不安定となっていた.
    ③P475S変異型ADAMTS13-MDTCSのペプチド基質の切断速度は正常型とほぼ等しかったが,基質に対する親和性は正常型のほぼ半分に低下しており,P475S変異によりVWFとの相互作用が低下し切断効率が低下すると考えられた.
    ④P475S変異型ADAMTS13-MDTCSのずり応力下のVWFマルチマー切断活性は正常型の70%程度を示し,P475S変異は先天性血栓性血小板減少性紫斑病の原因変異ではないというこれまでの結果と良く一致した.
日本血栓止血学会
SPC委員会報告
研究四方山話
第6回Daiichi-Sankyo Symposium for Thrombosis Update
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