2014 年 25 巻 3 号 p. 348-356
要約:心血管イベントの多くが動脈硬化巣(プラーク)の破綻に伴う閉塞性血栓によって発症する.しかしながら,プラーク破綻が必ずしも血栓症の発症を引き起こすのではないことが認識されるようになってきた.動脈硬化性血栓症ではプラークの血栓形成能がとくに重要と考えられるが,プラークの血栓能を検出する非侵襲的診断法は確立していない.筆者らは,プラーク内の代謝変化と血栓形成能に注目し,糖代謝の亢進と血栓性因子の発現や血栓サイズとの相関,低酸素と糖代謝経路の関連やマクロファージの代謝変動を検討し報告してきた.プラークの代謝解析やその検出により血栓症のリスク評価や,新たな治療指標の確立への展開が期待される.