2017 年 28 巻 6 号 p. 683-691
要約: 2017 年4 月14 日および16 日に,震度7 を超える強震が2 度にわたり発生し,熊本地方は甚大な被害を被った.この災害の中で,臨床検査関係者は自らの施設の復旧を直ちに行い,診療に直結する臨床検査をいち早く通常の状態へと導いた.これは,全国規模の物的・人的支援体制が過去の災害を教訓にいち早く動き始めたことの効果である.臨床検査関係学会や臨床検査関係企業が,他の団体とも連携しながら支援体制を構築し,できる限り迅速に対応を行った経過について,地震災害後の超急性期,亜急性期,慢性期にわたる臨床検査の状況と合わせて報告する.日常における災害への意識づけと対策のレベルが低かったこと,超急性期における各団体の連携が十分取れなかったこと,情報の共有化を行うのに手間取ったことなどの課題が挙げられた.経験をもとにしたレベルの高い災害対策へと発展させるべく,検討を進めている.