要約: 2016 年4 月14 日午後9 時26 分の前震と28 時間後の16 日午前1 時25 分の本震は,共に震度7 の激震となり熊本県中北部を襲い,甚大な被害を与えた.通称・熊本双子地震である.震度6 弱以上が計7 回,余震は15日間で2,959 回を数え,被災状況は,死者225 人(震災関連死を含む),重軽傷者2,682 人.住家被害は約19 万棟,最大避難者数18.4 万人(車中泊含まず)というものであった.熊本市南部に位置し救命救急センターの指定を受けている400 床の急性期病院であり,災害基幹病院でもある当院も例外ではなく,震度6 弱の烈震に2 度襲われ被災をした.電気の復旧は早かったが,上水道は断水しガスの供給も止まった.被災した中での患者受け入れ,とくに地震後に発生した静脈血栓塞栓症に対する院内急性期の対応を軸に過去の震災と肺血栓塞栓症の報告などを文献的に渉猟しつつ,1 年前を振り返りながら,「その時何がおきて,何を・どのように対応したのか」をお伝えしたい.
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