日本血栓止血学会誌
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28 巻 , 6 号
選択された号の論文の17件中1~17を表示しています
特集 熊本地震と止血血栓医療:その時,何が.その後,何を.
  • 橋本 洋一郎
    2017 年 28 巻 6 号 p. 665-674
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/12/15
    ジャーナル フリー

    要約: 熊本地震(2016 年4 月14 日と16 日に震度7)において4 月19 日より開始された深部静脈血栓症(DVT)検診は,当院を中心とした熊本のメンバーが受け皿となって,多くのボランティアの方々と一緒に行った.4 月21 日に県庁で「日本循環器学会専門チーム『エコノミークラス症候群』予防活動に関する打ち合わせ」が開催され熊本大学循環器内科を中心に熊本地震血栓塞栓症予防(KEEP)プロジェクトが始動し,着実な効果を示していった.静脈血栓塞栓症(VTE)対応チームは熊本県庁に必要に応じて18 時に集合して,熊本県,熊本市,厚生労働省などの担当者とVTE 予防のための対策を議論した.DVT 検診データの解析や解釈,DVT 検診の意義や役割,弾性ストッキングの適応・禁忌・必要数・獲得手段・組織的配布の方法など,多くの課題を短期間に解決していった.災害時にはcommand and control (指揮と統制)の中での医療支援の必要性を実感した.

  • 前原 潤一
    2017 年 28 巻 6 号 p. 675-682
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/12/15
    ジャーナル フリー

    要約: 2016 年4 月14 日午後9 時26 分の前震と28 時間後の16 日午前1 時25 分の本震は,共に震度7 の激震となり熊本県中北部を襲い,甚大な被害を与えた.通称・熊本双子地震である.震度6 弱以上が計7 回,余震は15日間で2,959 回を数え,被災状況は,死者225 人(震災関連死を含む),重軽傷者2,682 人.住家被害は約19 万棟,最大避難者数18.4 万人(車中泊含まず)というものであった.熊本市南部に位置し救命救急センターの指定を受けている400 床の急性期病院であり,災害基幹病院でもある当院も例外ではなく,震度6 弱の烈震に2 度襲われ被災をした.電気の復旧は早かったが,上水道は断水しガスの供給も止まった.被災した中での患者受け入れ,とくに地震後に発生した静脈血栓塞栓症に対する院内急性期の対応を軸に過去の震災と肺血栓塞栓症の報告などを文献的に渉猟しつつ,1 年前を振り返りながら,「その時何がおきて,何を・どのように対応したのか」をお伝えしたい.

  • 池田 勝義, 大隈 雅紀, 福吉 葉子, 今村 華奈子, 神力 悟, 内場 光浩, 松井 啓隆
    2017 年 28 巻 6 号 p. 683-691
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/12/15
    ジャーナル フリー

    要約: 2017 年4 月14 日および16 日に,震度7 を超える強震が2 度にわたり発生し,熊本地方は甚大な被害を被った.この災害の中で,臨床検査関係者は自らの施設の復旧を直ちに行い,診療に直結する臨床検査をいち早く通常の状態へと導いた.これは,全国規模の物的・人的支援体制が過去の災害を教訓にいち早く動き始めたことの効果である.臨床検査関係学会や臨床検査関係企業が,他の団体とも連携しながら支援体制を構築し,できる限り迅速に対応を行った経過について,地震災害後の超急性期,亜急性期,慢性期にわたる臨床検査の状況と合わせて報告する.日常における災害への意識づけと対策のレベルが低かったこと,超急性期における各団体の連携が十分取れなかったこと,情報の共有化を行うのに手間取ったことなどの課題が挙げられた.経験をもとにしたレベルの高い災害対策へと発展させるべく,検討を進めている.

  • 田上 直美, 齋藤 秀之
    2017 年 28 巻 6 号 p. 692-701
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/12/15
    ジャーナル フリー

    要約: 熊本地震での医薬品等の流通・供給は,関係各所の尽力と全国からの支援により概ね円滑であった.血液凝固因子製剤の供給にも問題はなかった.被災地への医薬品供給は,需給のアンバランスや適切なタイミングで供給されなかった過去の経験から,熊本県薬災害対策本部が設置され,その統括のもとで前震直後より主として被災地需要に応じた供給体制がとられた.現地では,刻一刻と変化する被災地ニーズに応じる要として熊本地震で初めて配置された災害薬事コーディネーターや初めて導入された災害対策医薬品供給車両(モバイルファーマシー)が貢献した.また,本稿では熊本地震での血友病患者の震災時の状況と患者対応について報告する.あわせて,血友病患者の災害時の備えについて,手持ち薬の予備日数,災害時をイメージした備え,緊急時に製剤を使うための必要物品の準備,地震発生時の薬の確認と入手方法,防災袋に入れておきたい情報等,被災経験を基に記載する.

  • 高木 雅敏, 鏡堂 智子
    2017 年 28 巻 6 号 p. 702-707
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/12/15
    ジャーナル フリー

    要約: 2016 年4 月に起きた熊本地震により,熊本県では多くの人が被災した.今回,地震直後より医師・看護師・薬剤師で話し合い,災害対応について検討し,被災した血友病患者(以下,患者)の対応を行った.本震から3 日後,看護師が当院通院患者18 名に電話連絡し,患者の身体的・精神的状況,服薬状況,血液凝固因子製剤を含む残薬の確認,居住・通院時の移動手段の確認を行った.患者は周囲に病名を告知していない場合もあり,震災により避難所などのプライバシーの確保が難しい場所やライフラインが整っていない場所,血液凝固因子製剤の自己静脈注射をする上で不衛生な環境で生活を送っていた.また,病気・治療に対しての不安を相談する機会がない状況であった.しかし,病院からの連絡により不安を緩和することができたとのことであった.災害時の対応について,日頃より検討しておくことの必要性が実感された.また,震災直後の患者連絡は患者の抱える問題への早期対応につながるとともに,医療者の声を聞くことで患者の不安が軽減する可能性があると考えられた.

  • 續 隆文, 井 清司
    2017 年 28 巻 6 号 p. 708-713
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/12/15
    ジャーナル フリー

    要約:災害国日本ではこれまで幾度となく多くの災害に見舞われてきた.九州熊本も例外なくこれまで多くの水害や台風には悩まされてきた.しかし,地震についての経験は少なく備えも希薄であったと思われる.そうした中,熊本県では昨年4 月に熊本地方を震源とする2 度の大きな地震を経験した.建物は崩れライフラインは断たれ,道路は崩壊し交通機関は乱れるなど甚大な被害をもたらした.熊本県赤十字血液センター(以下,熊本センター)も建物被害を受け,県内の血液事業のうち採血業務は完全にストップしたが,血液を供給する販売業務(供給部門)はその後も継続することができた.それは現在,血液事業体制が広域需給管理体制であり,全国からの支援があって成し得たことであった.しかしながら,災害時における初動対応や医療機関との連絡体制や血液在庫の事前協議など,地震を経験して幾つかの課題が見えた.

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