日本血栓止血学会誌
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特集 tPA の適応拡大の取り組みと新しい線溶制御薬
tPA に至る線溶促進薬の歴史とtPA の限界および適応拡大
鈴木 優子浦野 哲盟
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2018 年 29 巻 5 号 p. 465-472

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抄録

要約:血栓性疾患,なかでも脳梗塞は本邦における死因の第4 位ではあるが,救命し得ても十分な神経機能の回復が得られない場合にはその後の生活の質を大きく損なうことになり,いわゆる健康寿命の短縮につながる.発症後の速やかな血流再開通はもとより,同時に神経保護・回復促進を期待できる治療法が切望されている.Streptokinase により始まった血栓溶解療法は,フィブリン特異性の高いtissue-type plasminogen activator (tPA)としてalteplase からそのvariant であるtenecteplase(本邦未承認)へと移行しつつある.tPA とuPA あるいはpro-uPA とのコンビネーション治療も期待されている.神経保護に対してはこれまでに実に多くの試みがなされているが,残念ながら現時点でエビデンスのある治療法はない.Translational research が精力的に進められており,その成果が待たれるところである.

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© 2018 日本血栓止血学会
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