日本血栓止血学会誌
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特集 今,あらためて考えるグリコカリックス
血管内皮グリコカリックスの超微形態
岡田 英志
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2019 年 30 巻 5 号 p. 701-710

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抄録

要約:心臓から出た大動脈は末梢に進むにつれ枝分かれし次第に細くなり,最終的には一層の内皮細胞で構成された毛細血管になる.毛細血管では血液と組織の間で酸素をはじめとする物質交換が行われて個体の生命は維持されている.この毛細血管の恒常性維持に重要な役割を果たしているのが多糖類や糖タンパク質で構成される血管内皮グリコカリックスである.血管内皮グリコカリックスは構造が非常に不安定で脆弱であること,毛細血管内皮細胞の構造も内皮細胞同士の接合様式や器官による違いが大きいことにより3 次元構造の同定は困難であった.実際,グリコカリックスの形態は報告によって大きく異なっている.本稿ではそれぞれ構造の異なる心臓,腎臓,肝臓,肺,脳の毛細血管内皮構造とその表面に存在する内皮グリコカリックスの構造の違い,さらに実験的に誘発した血管内皮傷害の傷害形態を紹介する.

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© 2019 日本血栓止血学会
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