日本血栓止血学会誌
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特集 今,あらためて考えるグリコカリックス
グリコカリックスと血管透過性
飯島 毅彦
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2019 年 30 巻 5 号 p. 711-718

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抄録

要約:グリコカリックスは,血管内皮表面を覆う構造物であり,血管の密閉性を保つ役割を果たしている.血管内外の水の流れは臓器ごとに異なるが,基本的には血管内から血管外への漏出圧力がかかっている.これをグリコカリックスが抑制しているので,ひとたびこの構造物が崩壊すると血管内から血管外への水の漏出が一気に加速することになる.大きなタンパク分子も漏出するようになると間質の水の貯留は顕著になる.グリコカリックスは構造物としてだけではなく,様々な生物学的な機能を有している.血管の緊張度の調整も行っており,適切な緊張度が保たれなくなると血管透過性の亢進が起こる.また,内皮細胞表面の受容体に対する作用も調整しており,細胞内シグナリングを介して細胞間隙のtight junction による密閉性の調整に間接的に関与していると考えられる.血管透過性亢進は様々な重要病態の進展に大きく関与しており,グリコカリックスの機能の解明が求められている.

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© 2019 日本血栓止血学会
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