日本血栓止血学会誌
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特集:血栓性微小血管症(TMA)の臨床
序:TMAの分類と診断
松本 雅則
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キーワード: TMA, classification, diagnosis
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2020 年 31 巻 1 号 p. 3-6

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抄録

血栓性微小血管症(thrombotic microangiopathy: TMA)は,溶血性貧血と血小板減少に中枢神経や腎臓などの臓器障害を認める疾患群である.TMAに含まれる疾患で最も症例数が多いのが,志賀毒素産生性大腸菌(Shiga toxin producing E. coli: STEC)による溶血性尿毒症症候群(hemolytic uremic syndrome: HUS)である.それ以外で,診断基準が明らかな血栓性血小板減少性紫斑病(thrombotic thrombocytopenic purpura: TTP)は,ADAMTS13活性10%未満で診断される.この2つの疾患以外は,鑑別が困難な場合が多いが,その中で近年疾患概念が明らかになったのが非典型(atypical)HUS(aHUS)であり,補体系の異常によって発症する.また,自己免疫疾患,妊娠,造血幹細胞移植後などの明らかな基礎疾患や状態が存在すれば二次性TMAと診断される.最近,それぞれの疾患に特異的な治療薬が開発されているので,病因による分類が重要な時代となっている.

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© 2020 日本血栓止血学会
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