2022 年 33 巻 4 号 p. 414-420
後天性血栓性血小板減少性紫斑病(後天性TTP)の治療は,血漿交換が従来の隔日から連日に変更し,抗CD20抗体リツキシマブの適応拡大により再発・難治例の予後が改善した.欧米では,抗フォンビルブランド因子(VWF)抗体カプラシズマブが実用化され,死亡率が低下し,急性期の血栓症の減少と入院期間の短縮に繋がった.本稿ではフランスTMAセンターで行われたトリプル療法(血漿交換,免疫抑制(副腎皮質ステロイド,リツキシマブ),カプラシズマブ)の最新データを最初に紹介する.トリプル療法は従来の治療と比べて,複合エンドポイント(死亡,治療無効)が12.2%から2.2%と改善した.さらに血小板数が正常化するまでの日数と入院期間が短縮した.本稿では国内の薬事承認が近いカプラシズマブの海外試験と,国内外のガイドラインで推奨されている各種治療について解説する.