日本血栓止血学会誌
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特集:血友病患者のQOL向上を目指して
我が国の血友病患者のQOLの現状
長江 千愛
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2024 年 35 巻 1 号 p. 2-10

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抄録

近年,凝固因子製剤の定期補充療法やEmicizumabなどの出血抑制治療の普及により,先天性血友病患者の生命予後およびQOLは改善している.厚生労働省行政推進調査事業の「非加熱血液凝固因子製剤によるHIV感染血友病等患者の長期療養体制の構築に関する患者参加型研究」の分担研究:「血友病患者のQOLに関する研究」は,血友病患者および家族の治療および生活の質の向上を目的として2001年より継続的に行われている調査である.令和2年度の調査ではインターネットを介してアンケート調査票を配布・回収し,そして調査報告書もインターネットで公開した.本アンケート調査では,血友病患者さんの出血回数は出血抑制治療の標準化に伴い減少しているものの,血友病性関節症による関節の疼痛,特に足関節の疼痛が患者のQOLの低下を招いていることが報告された.アンケート調査の結果をもとに,現在の我が国の血友病患者さんのQOLの現状を報告し,今後の課題について考察する.

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