日本血栓止血学会誌
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本鎖および二本鎖t-PAのクロットに対する結合,フィブリン分解およびフィブリノゲン分解における比較
リコンビナント・t-PAを用いた in vitro での検討
木林 健治田中 康仁居石 克夫田中 健蔵
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1994 年 5 巻 1 号 p. 40-48

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抄録
遺伝子組み換えにより調製した一本鎖組織プラスミノゲン・アクチベーター (sct-PA) および二本鎖t-PA (tct-PA) の乏血小板血漿 (PPP), 多血小板血漿 (PRP) および全血よりクロットを調製する際のクロットに対する結合ならびに予め調製したPPPクロットに対する結合を125Iで標識したt-PAを用いて検討した. 50ng/ml以下の酵素濃度では, sct-PAのクロット形成時における結合率はtct-PAにくらべて高かったが, 治療濃度 (1μg/ml) では, 両者は同等の結合率を示した. 予め調製したPPPクロットに対し, 25~1,000ng/mlにおいて, sct-PAはtct-PAより高い結合率を示した. 両t-PAのフィブリン分解およびフィブリノゲン分解活性は, 精製系およびPPP中において検討した. 精製系において, 生理的濃度のフィブリン存在下でのsct-PAによるプラスミノゲン活性化は, tct-PAにくらべて少なかった. PPP中においては, sct-PAのフィブリン分解活性はtct-PAにくらべて高かったが, PPP中のα2-アンチプラスミン, プラスミノゲン及びフィブリノゲンの減少は, tct-PAにくらべsct-PAで軽度であった. 以上の結果より, sct-PAはtct-PAにくらべクロットに選択的であることが示唆された.
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