抄録
同種輸血に伴う非溶血性副作用は比較的よくみられる副作用であるが, 本邦における実際の頻度は明らかではない. 今回, 近畿大学医学部附属病院における非溶血性副作用の頻度について検討した. 血小板製剤, 赤血球製剤および新鮮凍結血漿の輸血後の全体の非溶血性副作用の頻度は3.29%であった. 3つの製剤の中では血小板製剤が5.18%ともっとも高頻度であった. 血小板製剤を洗浄することによって非溶血性副作用の頻度が5.79%から0.29%と著明に減少した. 赤血球製剤の非溶血性副作用の頻度は2.43%であったが, 白血球除去フィルターの使用例や, 白血球除去赤血球製剤ではそれぞれ1.13%, 0.57%と副作用の頻度が低下した. 非溶血性副作用は比較的高頻度にみられ, その予防が重要と考えられた.