2007 年 53 巻 3 号 p. 365-373
輸血総括アンケート調査を2004年度調査と同様の手法により実施した. また, 適正使用委員会 (または輸血療法委員会) の活動方針等を規定する「血液製剤適正使用マネジメントシステム」ガイドライン案 (ガイドライン案) を同封し, 有用性等に関する意見を求めた. 1,355病院に依頼し, 857施設 (63.2%) より回答を得た.
輸血部または検査部が輸血の検査, 管理を一元的に担当している施設は717施設 (84.0%) であったが, アルブミン等の血漿分画製剤を薬剤部が管理している施設は833施設 (97.7%) であり, その使用状況を輸血部門が把握していたのは285施設 (33.7%) であった. 輸血療法委員会または同様の機能を持つ委員会が769施設 (90.3%) に設置されていたが, 専任の輸血責任医師がいる施設は75施設 (8.8%) に過ぎなかった.
病床数及び輸血責任医師の専任, 兼任, 不在により分類した5群で比べると, 輸血責任医師が不在の施設において, 各血液製剤の廃棄率が多く, 新鮮凍結血漿 (FFP) 使用単位数/濃厚赤血球液 (RBC) 使用単位数比およびアルブミン使用g/RBC使用単位数比が統計学的な有意差はないものの, より多い傾向を認めた.
ガイドライン案を569施設 (74.1%) が肯定的に評価したことから, 適正輸血の具体化に有用な実践マニュアルに基づく輸血療法委員会の活性化が重要と思われた.