日本輸血細胞治療学会誌
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原著
大学病院におけるアルブミン製剤の適正使用推進の効果と問題点
丹生 恵子野間口 由利子久保田 邦典吉浦 洋子熊川 みどり
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2008 年 54 巻 3 号 p. 378-385

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抄録
厚生労働省は2006年にアルブミン使用量/赤血球製剤使用量(At/RBCt)が2以下となる血液製剤の使用を提案した.福岡大学病院ではこの10年余り,At/RBCtは4前後であり,アルブミンの使用過剰がある.輸血部では2006年3月のアルブミン使用状況を分析し,適正使用のための方策,(1)アルブミンの連続オーダを2日に制限する,(2)25%製剤の削除をする,(3)アルブミン測定法を改良BCP法へ変更したため,アルブミンの使用目標値を下げる(自主目標値の設定),を提案し,輸血療法委員会で了承後2007年7月より施行した.
これらの方策の効果をみるため,2006年3∼5月と2007年3∼5月の使用状況を比較した.アルブミン使用実人数は,300人から240人に,総使用量は23,657gから14,673gに減少した.高張アルブミン製剤の患者一人当たりの使用量中央値は75gから40gへと減少し,使用日数の中央値は3日から2日へと減少した.使用後の血清アルブミン中央値は等張アルブミン製剤で自主目標値以下となったが,高張アルブミン製剤では依然として自主目標値より高い.適正な使用が47%から68%へと大きく改善したが,At/RBCtは3から2.6にしか低下しなかった.更に適正使用を推進する必要がある.
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© 2008 日本輸血・細胞治療学会
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