日本輸血細胞治療学会誌
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輸血業務に関わる看護師へのアンケート調査の解析
玉井 佳子北澤 淳一田中 一人兎内 謙始小舘 昭示村上 知教棟方 千里立花 直樹
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2010 年 56 巻 1 号 p. 57-61

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抄録
【背景】医療関係者は,輸血医療・業務に習熟している必要があるが,看護師の輸血業務に関しては論議されることが少なかった.安全な輸血医療提供のために,看護師責務は重大である.
【目的】看護師の輸血医療への関与の現状把握のため,輸血業務に対する意識・知識,疑問・要望を調査した.
【対象・方法】青森県地区拠点7病院のうちI&A認証施設の青森県立中央病院,黒石市国民健康保険黒石病院と,弘前大学医学部附属病院の看護師182名を対象に文書によるアンケート調査を施行した.
【結果・考察】輸血開始推奨速度(1ml/分)の正答率は61%であった.異型不適合輸血に関しては,16%の看護師がRh(-)患者にRh(+)赤血球を輸血しても良いと回答した.また,Major mismatchのABO不適合赤血球輸血の正答率は31%であった.
今回の調査で,輸血業務に習熟していると予想された3施設の看護師でも,輸血に関する理解度は満足いくものでなく,看護師は疑問がありながらも日常輸血業務を行っていた.より安全な輸血医療提供には,看護師の輸血に関する知識の啓発・意識の改革も重要であると思われた.
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© 2010 日本輸血・細胞治療学会
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