日本輸血細胞治療学会誌
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自動分離装置を用いる臍帯血の赤血球除去調製―AXP systemの評価
高梨 美乃子大場 亜紀小川 篤子伊藤 みゆき川旗 優子中島 一格
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2010 年 56 巻 1 号 p. 62-67

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抄録
移植のための臍帯血バンクにおける臍帯血調製作業では通常ヒドロキシオキシスターチ(HES)を用いて赤血球を沈降させ,臍帯血容量を減少させている.分離調製手技の習得には長時間を要し,臍帯血の自動分離機器を導入できれば,手順の標準化および品質管理にも寄与すると期待される.我々は用手法であるHES沈降法とAutoXpressTM system(AXP)によるHESを用いない方法とを比較した.臍帯血を2等分して同等のものを2袋準備し,24ペアをそれぞれの方法で調製して,総有核細胞数(TNC),単核細胞数(MNC),CD34+細胞数,コロニー形成細胞数(CFU)を計測した.AXP群でのTNC,MNCおよびCD34+細胞数,CFUの回収率は,それぞれ88.4%,97.3%,93.4%,101.2%であり,これはHES沈降法での回収率よりも有意に高かった.AXPによる分離調製の時間は有意にHES沈降法にかかる時間よりも短かった.一方,HES沈降法では有意に赤血球除去率が高かった.臍帯血凍結融解後のTNC,CD34+細胞数,およびCFUの回収率は両群に差がなかった.AXPを用いて,臍帯血バンクでの自動化および調製手順の単純化を進める事が可能である.
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© 2010 日本輸血・細胞治療学会
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