日本輸血細胞治療学会誌
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報告
Del型MAP加赤血球濃厚液により抗D抗体価が著明に上昇したD陰性の1例
佐久間 香枝久保 紀子西村 加世高橋 直美高木 朋子武田 敏雄國友 由紀子原口 京子比留間 潔奥山 美樹
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2010 年 56 巻 3 号 p. 381-385

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抄録
我々は,D抗原陰性者に対しD陰性の赤血球輸血を行なっていたにもかかわらず,抗D抗体価がクームス法で最高4,096倍と著しく上昇した症例を経験した.輸血に使用された血液製剤の遺伝子解析を行なったところ,Del型赤血球の特徴であるRHD遺伝子の1227番目がグアニンからアデニンに置換している製剤が含まれていたことが明らかとなった.
したがって本症例はDel型赤血球の輸血により,D抗原の感作を受け,抗D抗体を産生したと考えられた.なお,輸血後明らかな溶血の所見は認められなかった.
通常のD陰性血の中にはDel型が含まれていることがあり,Del型赤血球輸血がD陰性者に抗D抗体を産生させる可能性があることは十分認識するべきであると思われた.
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© 2010 日本輸血・細胞治療学会
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