2010 年 56 巻 3 号 p. 386-390
宮城県合同輸血療法委員会において実施された県内医療機関における輸血医療の実態調査に基づき,輸血管理体制整備と赤血球製剤廃棄との関連性について解析した.平成18年度および平成19年度ともに赤血球製剤使用量の多い施設ほど廃棄率は低い傾向にあり,特に平成19年度の輸血管理体制「整備」施設群においてその傾向は顕著であった.輸血管理体制「未整備」施設群のうち,院内輸血療法委員会の開催回数が「6回未満」の施設群では平成18年度から平成19年度にかけて赤血球製剤廃棄率の改善が全く認められなかったのに対し,「6回以上」施設群においては平成19年度の方が平成18年度よりも減少していた.また「6回以上」施設群と「6回未満」施設群との比較においては,平成18年度,平成19年度ともに「6回以上」施設群の方が赤血球製剤廃棄率の平均値は低く,特に平成19年度においては,有意に「6回以上」施設群の赤血球製剤廃棄率は低かった.赤血球製剤廃棄削減における輸血管理体制整備の重要性を示唆する結果であると思われた.