日本輸血細胞治療学会誌
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蛍光ビーズ法を応用した高感度HLA・HPA抗体同時解析法の開発
藤原 孝記島野 佳恵田中 秀則関根 みゆき柏瀬 貢一内川 誠佐竹 正博中島 一格
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2010 年 56 巻 6 号 p. 716-724

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抄録

背景:HLA・HPA抗体の検出は,血小板輸血不応症例において極めて重要である.しかし,信頼性が高くハイスループットなHLA交差適合試験法やHPA抗体検出法に関する報告はされていない.
方法:高感度HLA・HPA抗体同時解析法としてビーズアレイを応用したimmunocomplex capture fluorescence analysis(ICFA)法を開発した.患者血清と反応させた血小板を可溶化し,モノクローナル抗体結合蛍光ビーズを反応させることにより,血小板膜糖タンパク質およびHLAクラスI分子のモノクローナル抗体エピトープを介して抗原抗体複合物を特異的に捕捉した.フローサイトメトリー解析により蛍光ビーズが捕捉した免疫複合体を検出し,抗体特異性を判定した.
結果:HLA抗体を含む血清50例およびHPA抗体を含む血清20例を用いて検討した結果,ICFA法はFlowPRA(One Lambda)と同程度の検出感度でHLA抗体を検出することが可能であった.また,本法はMPHA法より高い検出感度でHPA抗体を検出することが可能であった.
考察:ICFA法は,迅速・簡便かつ信頼性の高い,高感度HLA・HPA抗体同時解析法であり,AHG-LCT法に代わるHLA交差適合試験の標準法として期待される.

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© 2010 日本輸血・細胞治療学会
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