日本輸血細胞治療学会誌
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Print ISSN : 1881-3011
ISSN-L : 1881-3011
原著
血液製剤廃棄率減少への取り組み―10年間の対策と結果―
恒川 浩二郎宇佐見 みゆき竹内 則子楢本 和美吉岡 亜子小澤 幸泰後藤 眞里子山岸 宏江湯浅 典博
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2011 年 57 巻 1 号 p. 17-24

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抄録

[背景と目的]血液製剤の有効利用のためには廃棄血を減少させることが重要である.当院輸血部での1998年から10年間の廃棄血減少への取り組みを検証した.[結果]廃棄血が生じた原因は,輸血部から血液製剤を出庫したが使用されなかったこと,血液製剤の期限切れ,輸血を予定していた患者の死亡,血液製剤の破損が多かった.原因を医師,看護師,患者,技師・機器・血液センターに分類すると,医師の関連したものが最も多かった.廃棄血の減少要因として,血液製剤出庫前の患者検査データの医師への確認,血液製剤の適切な在庫数の確保,赤血球製剤の割り付け・返納回数の減少など16項目が挙げられた.全血液製剤の廃棄率は1998年は0.24%であったが10年間で漸減し2007年は0.06%であった.[結論]有効期限切れによる廃棄を減らす工夫,医師に適正な輸血療法の理解を促すこと,輸血緊急度の医師・検査技師間での共有,破損による廃棄を減らすことが廃棄血の減少につながる.

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© 2011 日本輸血・細胞治療学会
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