日本輸血細胞治療学会誌
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原著
一回全血600ml相当の赤血球成分採血を年二回実施することの安全性評価
清水 勝竹中 道子山本 定光池田 久實柴田 弘俊前田 義章比留間 潔
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2011 年 57 巻 3 号 p. 131-138

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抄録

[背景]少子高齢化社会では赤血球製剤(RCC)の需要増加が見込まれる一方,献血者の減少が危惧される.現状の献血者の平均献血回数が年2回未満であることから,1回の採血赤血球量を増量し,現行の採血基準内(全血相当量1,200ml)で年2回採血が安全に実施できるかの検討は有意義と考える.
[対象・方法]承諾を得た58kg以上の男性供血者18人から,赤血球成分採血(RCa)により3単位RCC(全血600ml相当の赤血球)を6カ月間隔で2回採血し,採血中・後の副作用および採血前と6カ月後まで血算,血清鉄,血清フェリチン(s-Ft),エリスロポエチンを検査した.RCaには,1回目(1-RCa)はヘモネティクス社CCS,2回目(2-RCa)は改良ボウルを組み込んだ同社のMultiを使用した.
[成績]1-,2-RCaとも問題になる副作用はなく,Hb値は採血直後に11g/dl以上,3カ月後には採血前値に回復した.s-Ftは各採血前値に比し1-RCa 6カ月後61.8±20.2%,2-RCa 6カ月後77.0±29.5%の回復に留まったものの,経過中12ng/ml以下になった6例においてもHb値は回復した.2-RCa採血直後のRCCの遊離Hbは20.1±10.8mg/dlであった.
[結論]3単位RCCを6カ月間隔で2回採血することは安全に実施できると考える.なお,s-Ftの動向は今後の検討課題と思われる.

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© 2011 日本輸血・細胞治療学会
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