日本輸血細胞治療学会誌
Online ISSN : 1883-0625
Print ISSN : 1881-3011
ISSN-L : 1881-3011
症例
Jra抗原陽性赤血球輸血を行った抗体を保有していないJra抗原陰性患者
橘川 寿子川畑 絹代安田 広康高崎 美苗菊地 正美菅原 亜紀子斎藤 俊一奥津 美穂小野 智菅野 隆浩松本 勇人酒井 一吉小島原 研司大戸 斉
著者情報
ジャーナル フリー

2011 年 57 巻 3 号 p. 160-163

詳細
抄録

Jra抗原は高頻度抗原のひとつで,日本人のJra抗原陰性頻度はおよそ0.06%である1)2).ランダムドナー由来の赤血球濃厚液の輸血を受けた,抗Jraを保有していないJra抗原陰性患者の症例を経験した.
患者は50歳代男性でA型RhD陽性,悪性リンパ腫治療のため入院となった.献血の際にJra抗原陰性であると指摘されていた.不規則抗体が陰性であることを確認し,ランダムドナー由来の赤血球濃厚液(8ドナー,14単位)を輸血した.その後,輸血した全ての製剤がJra抗原陽性であることが判明した.
輸血後,不規則抗体は検出されなかった.Jra抗原陰性者の輸血では,抗Jraを保有していなければ当該抗原陰性赤血球を選択する必要はなく,Jra抗原陰性赤血球の適応について,情報を提供しうるものと思われる.

著者関連情報
© 2011 日本輸血・細胞治療学会
前の記事 次の記事
feedback
Top