2011 年 57 巻 3 号 p. 160-163
Jra抗原は高頻度抗原のひとつで,日本人のJra抗原陰性頻度はおよそ0.06%である1)2).ランダムドナー由来の赤血球濃厚液の輸血を受けた,抗Jraを保有していないJra抗原陰性患者の症例を経験した.
患者は50歳代男性でA型RhD陽性,悪性リンパ腫治療のため入院となった.献血の際にJra抗原陰性であると指摘されていた.不規則抗体が陰性であることを確認し,ランダムドナー由来の赤血球濃厚液(8ドナー,14単位)を輸血した.その後,輸血した全ての製剤がJra抗原陽性であることが判明した.
輸血後,不規則抗体は検出されなかった.Jra抗原陰性者の輸血では,抗Jraを保有していなければ当該抗原陰性赤血球を選択する必要はなく,Jra抗原陰性赤血球の適応について,情報を提供しうるものと思われる.