2012 年 58 巻 6 号 p. 770-773
<背景>輸血後鉄過剰症は重篤な臓器障害を生じ,予後にも影響することが知られている.Deferasirox(DFX)は,用量依存的に鉄キレート効果を発揮する経口剤であり,鉄過剰症を予防するためには輸血頻度に応じてDFXを継続する必要がある.<目的>輸血後鉄過剰症患者におけるDFXによる除鉄効果について検討する.<方法>6施設においてDFXを処方された患者について後方視的に検討を行った.<成績>骨髄異形成症候群や再生不良性貧血など73例について中央値182日(19~428)の観察を行った.血清フェリチン値(SF)は一月あたり平均103ng/ml減少した.目標であるSF<500となり投与が一時終了されたのは3例,それ以外に継続投与が可能であった36例のうちSFが低下したのは19例であった.副作用によりDFXの投与が中止されたのは17例(23.3%)であり消化器症状,腎機能異常が主な原因であった.<結論>DFXは有効な鉄キレート効果が得られる一方,副作用により継続,増量の困難な症例が問題となる.早期から低用量で用いるなどの工夫が必要と考えられた.