新鮮凍結血漿(Fresh Frozen Plasma:FFP)の投与によりアナフィラキシー様反応を来し,検索の結果,抗C4抗体(IgGクラス)が関与した可能性が示唆された症例を経験した.さらに本例では輸血後にトリプターゼ値上昇,好酸球増多がありIgE値が高く,好酸球・好塩基球・肥満細胞の脱顆粒により生じたmediatorによるアナフィラキシー様反応を起こした可能性も示唆された.
症例は79歳男性,胃癌と胆石症のため,胃全摘および胆嚢摘出術が施行された.手術中の総出血量が1,282m
l,縫合部に出血傾向を認めたため,術後に照射赤血球濃厚液(Red Cell Concentrates:RCC)4単位を輸血し,その後FFP4単位の輸血を施行した.2本目のFFP投与開始30分後に蕁麻疹が出現したため直ちに輸血を中止し,電解質輸液に置換した.さらに頻脈と酸素飽和度(SpO
2)の低下を認めたため,酸素マスクを装着し全身管理を行いながら経過観察した.翌朝にはSpO
2は96%まで回復し,全身状態も改善した.
輸血で認められるアナフィラキシーの原因は完全には解明されておらず成因を特定することは困難な場合が多いが,本例は原因の検索を行うことにより発生機序が推定された例と考えられ,ここに報告した.
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