2013 年 59 巻 3 号 p. 457-461
血液疾患でみられる赤血球A・B抗原発現低下と血液型亜型を血清学的に鑑別するのは難しい.ABH抗原に転換するオリゴ糖末端付近のI抗原は,フローサイトメトリー法で解析できるので,A・B抗原と発現動態が一致すれば,血液疾患によるA・B抗原発現低下との診断に役立つ.A・B抗原に異常がみられた骨髄異形成症候群2例,急性骨髄性白血病1例のI抗原発現率をフローサイトメトリー法で調べたところ,cis AB型を含む健常人に比べ,いずれも有意に低下していた.したがって,フローサイトメトリー法によるI抗原測定が,A・B抗原発現低下診断の一助となる可能性が示唆された.