日本輸血細胞治療学会誌
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原著
Luminex systemを用いた抗血漿タンパク抗体検査法の開発
宮崎 孔松林 圭二佐藤 進一郎加藤 俊明池田 久實紀野 修一髙本 滋
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2014 年 60 巻 6 号 p. 585-591

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抄録
抗血漿タンパク抗体はアナフィラキシー様の非溶血性輸血副作用の原因となることが報告されている.我々はLuminex systemを用いた抗血漿タンパク抗体検査法を開発し,非溶血性輸血副作用例についてIgA, IgA1, IgA2,ハプトグロビン,α2-マクログロブリン,セルロプラスミン,C4, C9に対する抗体の検出を試みた.さらに特異性の向上を目指してヒトプール血漿を用いた吸収試験を同時に行った.その結果,陽性コントロールである抗IgA抗体,抗IgA2抗体,抗ハプトグロビン抗体,抗セルロプラスミン抗体,抗C4抗体は全てLuminex法で検出でき,ヒトプール血漿による吸収試験でも反応の抑制が確認できた.抗IgA抗体および抗ハプトグロビン抗体を用いた感度試験ではELISA法の64倍の高感度を示した.242検体の抗体スクリーニングでは抗IgA2抗体と抗ハプトグロビン抗体の各1例ずつが検出され,いずれもELISA法では陰性であった.我々の開発したLuminex法による抗血漿タンパク抗体検査法はELISA法に比べ検出感度,特異性が高く,非溶血性副作用の原因解析に適した優れた検査法であると考える.
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© 2014 日本輸血・細胞治療学会
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