日本輸血細胞治療学会誌
Online ISSN : 1883-0625
Print ISSN : 1881-3011
ISSN-L : 1881-3011
原著
診療科別輸血製剤副作用発生率の調査
藤井 康彦田中 朝志小高 千加子加藤 栄史米村 雄士藤島 直仁佐々木 さき子奈良崎 正俊大澤 俊也田崎 哲典吉場 史朗岩尾 憲明越知 則予小林 洋子橋本 誠児玉 るみ川野 洋之竹ノ内 博之金光 靖野間口 由利子紀野 修一五十嵐 滋石井 博之大谷 慎一大隈 和岡崎 仁北澤 淳一日野 学百瀬 俊也浜口 功
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2016 年 62 巻 3 号 p. 451-458

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抄録

大学病院での診療科別の副作用発生頻度の検討を行った.輸血中および輸血後に発生した様々な徴候・症状について,日本輸血・細胞治療学会ヘモビジランス委員会により推奨された17項目の「輸血副作用の症状項目」に従い,データ収集を行った.解析対象とした17大学病院の2009年1月から4年間の輸血副作用の総件数は8,851件であり,バッグ当り0.72%の頻度であった.また,バッグ当りの副作用発生率(全診療科)は赤血球製剤(RBC)や新鮮凍結血漿(FFP)では0.59%,0.79%と1%未満であったのに対し,血小板製剤(PC)は3.16%と高頻度であった.RBCでは診療科別の副作用頻度に差を認めないが,FFPでは「血液透析を対象とする腎臓内科,腎センター」が4.12%,PCでは「血液内科」3.84%,「小児科」4.79%と高い発生率であった.診療科別の輸血患者数および輸血患者あたりの副作用発生率についても検討を行い,同様の傾向を認めた.輸血中および輸血後に発生した徴候・症状を簡便な報告方法により収集することにより,これまで明確でなかった輸血副作用のリスクを明らかにすることができた.

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© 2016 日本輸血・細胞治療学会
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