日本輸血細胞治療学会誌
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青森県内の輸血実績を有する全医療機関への赤血球輸血関連検査調査(2015年度)
金子 なつき田中 一人玉井 佳子小山内 崇将久米田 麻衣阿島 光村上 知教柴崎 至伊藤 悦朗
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2017 年 63 巻 5 号 p. 723-726

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抄録

将来的医療構想が小規模・在宅医療機関へシフトする方策を勘案すると,小規模施設における安全で適正な輸血療法の担保は重要だが,その実態は不明な点が多い.今回,2015年度に青森県内の赤血球輸血実績を持つ全医療機関144施設にアンケート調査をした.【結果】118施設から回答(回収率81.9%)があった.診療所(0~19床)の検査技師在籍施設は49施設中10施設(20.4%)に留まった.ABO血液型検査に問題がある施設が8施設(6.8%),交差適合試験が不適切である施設が11施設(9.3%),4施設(3.4%)が両者ともに不適切であった.不規則抗体スクリーニングは20施設(16.9%)が不適切であった.輸血に関する検査不備は,診療所に多く,年間輸血袋数を勘案すると,特に有床診療所(1~19床)が問題となることが分かった.【まとめ】複数の小規模施設で輸血検査が不適切である現状が明らかになった.今後,日本輸血・細胞治療学会から公表が予定されている「在宅赤血球輸血ガイド」等を利用して,県合同輸血療法委員会による小規模施設への正しい輸血検査法の情報提供や教育介入を予定している.

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© 2017 日本輸血・細胞治療学会
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