日本輸血細胞治療学会誌
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症例報告
HPA-15a抗体保有白血病患者に対するHPA不適合血小板輸血の臨床効果
岡山 ゆかり橋本 誠貝原 由美生見 景子森 雅彦秋篠 達也北本 妙子糟谷 敬子乾 由美子岡村 篤夫
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2019 年 65 巻 3 号 p. 606-610

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抄録

同種抗原となるヒト血小板抗原-15(Human platelet antigen-15:HPA-15)は血小板膜表面のCD109上に発現しており,これに対する血小板抗体は血小板輸血不応(Platelet transfusion refractoriness:PTR)や新生児血小板減少症(Neonatal alloimmune thrombocytopenia:NAIT)の原因となり得る.しかし,本邦で広く用いられている抽出抗原を用いたMixed passive hemagglutination法(MPHA法)では,HPA-15抗体を検出することは難しく,HLA抗体を有する患者では更に解析が困難である.

この度我々は,急性骨髄性白血病に対する治療中にPTRとなった患者血清中に,HLA抗体と共に,Monoclonal antibody-specific immobilization of platelet antigens法(MAIPA法)によりHPA-15a抗体が検出された症例を経験した.

患者はランダム血小板では輸血効果を認めなかったが,HLA適合・HPA不適合血小板輸血では,HLA適合・HPA適合血小板輸血と同等の輸血効果が認められた.本例ではHPA不適合血小板でも輸血効果が認められたが,PTRに対するHPA-15a抗体の臨床的意義をより明確にするためには,さらなる症例の蓄積が必要である.

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© 2019 日本輸血・細胞治療学会
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