日本輸血細胞治療学会誌
Online ISSN : 1883-0625
Print ISSN : 1881-3011
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原著
HLA-C抗体保有患者におけるHLA-C座不一致血小板製剤の輸血効果の解析
大河内 直子松橋 美佳山崎 翔小林 洋紀礪波 薫宮城 徹柏瀬 貢一相原 忠広脇谷 勇次津野 寛和岡崎 仁室井 一男
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2022 年 68 巻 3 号 p. 399-407

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抄録

【背景】HLA抗体による血小板輸血不応症例には,HLA適合血小板(PC-HLA)が推奨される.ドナーの選定には,HLA-A座,B座の適合性を確認するが,HLA-C座の適合性は優先されない.本研究では,HLA-C座の適合性による輸血効果を解析した.【方法】関東甲信越ブロックにおいてHLA-C抗体による交差適合試験陽性例の輸血効果を解析した.また,東京大学医学部附属病院においてHLA抗体を保有する血小板輸血不応患者1例に対してPC-HLA(66本),適合血小板(19本)およびランダムの血小板製剤(7本)について,輸血効果を評価し,後追いの交差適合試験を実施した.【結果】交差適合試験陽性57件(陽性率0.25%)のうちHLA-C抗体によるものは27件(47.4%)であり,Cw8抗体が55.0%を占めていた.HLA-C座不一致製剤の75%は有効であった.東大01症例はCw15抗体陽性かつCw10抗体陽性であったが,HLA-C座不一致製剤6本(75%)は有効であった.【結論】HLA-C抗体が原因となる交差適合試験陽性例が存在するが,HLA-C抗体の多くは血小板輸血効果に影響しないことが確認できた.

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© 2022 日本輸血・細胞治療学会
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